#211 ドビュッシー ゴリウォーグのケークウォーク(3)

レガートとスタッカートが交互に出てくる中間部から見てみましょう。 Cedezはゆっくり、avec une grande emotionは気持ちを込めての意味。 スタッカートが多い曲の中、急に豊かなレガートの登場にびっくりします。 ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」から取ったテーマです。 解決しない和音の連結はトリスタンの和音と呼ばれ有名な和声進行です。 ドビュッシーはフレーズを拝借しユーモアを加えてアレンジしています。 軽いアメリカのジャズ風と、真面目なドイツ音楽の面白いミックスです。 ワーグナーは豊かにレガート、対するアチャカトゥーラ(短前打音)は鋭く。 内声のラーシ♭ーシの半音は悲し気なブルースから取ったフレーズです。 ユニゾンの最後の音は右手で取ると左手のバスの準備が楽になります。 音をおさえつつ鍵盤上で指を変えて右手上の動機を弾きやすいポジションで。 音楽は始めとほぼ同様でも工夫を凝らした和音の部分は大きく強弱変化させて。 ド♭シラソファ14321のあとミ♭は右手でオクターブを取って響きよく。 色々なスタイルが入った楽しい曲です。リズミカルに弾きましょう。

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#210 ドビュッシー ゴリウォーグのケークウォーク(2)

今回は2ページ目を見てみましょう。 ピアノの中のクレッシェンドや、最後のffなど様々な強弱が出てきます。 左手の伴奏は54(3)-12、又は2の代わりに1の指で2音を取る事もできます。 cresc.して上の音は短く、ペダルも効果的に使いましょう。 左手はバスのみ+右手で和音を取ることで左の負担を軽減できます。 冒頭のテーマが出てきたら今回はアーティキュレーションを変えて。 下の段の変ト長調Un peu moins viteは「少し速さを減らして」という意味です。 少しテンポを落とし、左はテノールの旋律を出して右の単前打音は噛むようにとても短く弾きましょう。

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#209 ドビュッシー ゴリウォーグのケークウォーク(1)

面白いタイトルの曲は子供の情景を彷彿とさせる子供の世界を表した曲集です。 ゴリウォーグは1895年作のF.Uptonによる絵本に登場する男の子の名前です。 ケークウォークはアフリカの民族舞踊発祥、アメリカで生まれたダンスです。 当時フランスではジャズ等の影響を受けた音楽が流行っていました。 軽快でシンプルなこの曲は凝った表現より小気味いいテンポをキープします。 スタッカートとアクセントを組合わせたマルカートは鋭く短く切りましょう。 1拍目の休符も意識的に鋭く感じ、1段目は出来るだけ大きな音で弾きます。 2段目の指使いは右手でファソをミシと一緒に弾けばずっと楽になります。 ただ3段目以降の跳躍に慣らしておきたい場合は楽譜通り左手で取ります。 とてもクリアに、とてもドライに、の表示に従いペダルは使わずに。 メロディーはppで音は切れても旋律的に。右手の重音は軽くルーズに叩いて。 強弱やアーティキュレーションを守って、わかりやすく少し大袈裟に表して。 fの音量の為には短くペダルを使って。テンポは急がずリズムをキープ。 コントラストを作って硬くならずダンスのリズムに乗って楽しく弾きましょう。

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#208 グリーグ 抒情小品集「春に寄す」(4)

今日は3pページ目の下の段から曲の最後まで見てみましょう。 fのアクセントからdecしてpへ、そのあとcrescと細かい強弱を意識します。 左手の裏拍のアクセントとcresc、decなど強弱やタイミングなど3小節の中の細かい豊かな指示を曲の気分を感じながら、こだわりをもって表現しましょう。 無意識に弾くのではなく左の伴奏も和声を感じながら旋律的にレガートで。 ffとcrescの後盛り上がるかと思えば急にpになり曲は幻想的に終わります。 2段目2小節から和声はh→G→E D→fisと3度の関係で変化しています。 リストなどロマン派に見られる3度変化の和声進行は幻想的な味わいです。 ハリーポッターの不思議な感じの音楽でも同じような進行が聴こえます。 エンディングのジャズ風な面白い和音を経由して最後の和音に着きます。 少し戻り4拍目フェルマータは休むように時間を取って急がず、ffでは大きくcrescした後たっぷり待って期待させ→意外な展開の和音は絶妙なタイミングで。 雰囲気を感じること、クライマックスを作る事が大切です。 最後近くの左アルペジオは5321指で時間かけて登りペダルはゆっくり離して。 次の和音はラレを25に変えレだけ残しドに繋ぎやすいポジションへ移って。 レ♯レドをレガートにするためペダル踏み替えるタイミングにも注意します。 少し戻って長いアルペジオはワンペダルでdimとritしながら消えて行きます。 次のffの和音はトッカータのように急に荒々しく→とても優しくなります。 曲の最後の部分はグリーグがテンポ感がない世界を描いています。 色々な演奏を聴いてこだわって自分の曲のイメージを磨いていきましょう。

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