土曜日, 2024/07/27 6:41

レッスンビデオ

#202 ラヴェル ハイドンの名によるメヌエット(1)

ラヴェルの素敵な小品を3回に分けて見て行きます。 今日は始めの3-4段目の曲の作り方、和声、強弱や表現、雰囲気をみてみます。 ハイドン没後100年に当る1909年、音楽雑誌の企画で6人の作曲家に曲を依頼。 HAYDNの名前にちなみシ-ラ-レ-レ-ソの5音から成る6つの作品が生まれました。

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#201 シューマン 子供のためのアルバム「冬」(2)

今日は曲の後半です。まずは3段目の強弱は出だしと比べて大きく始まります。 矢印を参考に先に進む、ルバート、ritなどリズムをパンパンパンと取ります。 機械的な練習は音楽にとって最も大切なフィーリングを壊すので要注意です。 テンポは遅くてもフレーズ感を失わないように気をつけましょう。先週の続きでアルトの音を連打しながら強弱は考えず良いタイミング、リズムを探します。 次は歌い方、強弱です。crescを山の大きさで考えてそこへ向かったり降りたり。 アルペジオの後は小さく始まりcresc-decの波を何度か作りながらpに導きます。 4段目のテーマが戻る所はppで冒頭に比べゆっくり幻想的な静かなトーンで。 最後のシューマンらしい複雑な声部はそれぞれ単独で弾いて動きを確かめます。 慣れたらソプラノとテノール、ソプラノとアルトなど2声を重ねて弾きましょう。 無理して弾くより色々な声部をよく聴きながら美しい音に気付くのが大切です。 自分の音を客観的に聴きながら自然なタイミングを感じ取りましょう。

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#200 シューマン 子供のためのアルバム「冬」(1)

ゆっくりした寂しく悲しい雰囲気の小さな曲です。 リズムの感じ方と拍感、旋律的に歌う事とその2つを組み合わせる練習をします。 初めの小さなフレーズは質問→答→質問→最後の答と4つの動機で出来ています。 このフレーズをリズムが機械的に硬くならないよう注意して自然にルバートで。 16分音符の感じ方は数字の8を横にした形を描く様に切らずに塗るイメージで。 パンパンパンと口でリズムを取るのもルバートで指もそれに合わせて弾きます。 右のアルト又は左のテノールで拍を取るように16分音符の連打で弾いてみます。 溜めて弾きたい時に16分音符はritで弾き、その後テンポを戻すのを繰り返しながら自由なリズムの感覚を掴みましょう。慣れたら16分音符を頭の中で感じます。 どの曲にも応用ができるリズムの練習方法です。次はフレーズを歌いましょう。 音に向かって弾く感覚が大切です。音のcrescより気持ちの盛り上がりに集中。 「音を大事に弾く」捉え方も良いです。同じ表現より強弱は色々変化させます。 次のステップはリズムと歌い方の融合です。腕や肩、上半身も音楽に沿わせて。 ppも2回目はウナコルダにしたり変化のある表現を意識しましょう。 リズムはいきなり曲に飛び込まずに始まる前に∞の形を描いてそれに乗ります。 ソプラノはもちろん重要ですが時にはアルトを強調したり左のテノールを少しだけ聞かせたり、表現を楽しみながら弾いてみましょう。

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#199 バッハ 前奏曲 cis-moll BWV849(3)

バッハ 平均律 第1巻 第4番 プレリュード cis-moll BWV849 ③ 3回目の今回は2ページ目の4段目以降〜最後まで見て曲を完成させましょう。 29小節でドラマティックに終わってコーダで静かになりますが→もう一回クライマックスが来て→テンポの押し引きがあり→最後に小さく盛り上がり終ります。 エンディングは色々とこだわることができますが、いったん29小節に戻ります。 pの音量から始まって段々膨らませて。a↘︎f♯の大きな音程は劇的な意味です。 バロックの世界で大きな音程は宗教的な痛み、悲しみ、大変な事を表します。 ピアノで2つの音を弾く事は簡単ですが大変そうに歌いながら音程を味わって。 左手は落ち着いて。テンポを揺らしながらエンディングに導いて行きます。 6度など音程大の箇所は少し、33小節のf♯↗︎aの大きな音程はたっぷり溜めて。 テンポにこだわりながら、歌う事と上手くバランスしながら弾きましょう。 35-36小節はスラーのついたアーティキュレーションや前打音も見逃さずに。 37小節は縦のライン=和声もよく聴いて。最後はritで和音はアルペジオも可。 オルガンの響き「アーメン」のようにも聴こえます。リズムを失わないように歌います。テンポ感と歌、2つの要素のバランスを大切に美しく弾きましょう。

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#198 バッハ 前奏曲 cis-moll BWV849(2)

前回は歌い方、リズミカルに弾く、装飾音など細かいところを見ました。 今回は音楽がよりドラマチックに展開する14小節目からのレッスンです。 それまでの小さな祈りが豊かな表現でクライマックスに向かって行きます。 大きなトリルとアルペジオ、不協和音が現れる所まで見てみましょう。 13小節はritとpでフレーズを終えたのでテンポを戻して揺らしつつ進みます。 始終ルバートで自由に動かして時には思い切って遅くしたり自分の感覚で。 遅くなったテンポは必ず戻します。タイミングのイメージを持ちましょう。 強弱は音の強さではなくフレーズを膨らませるように旋律的に感じること。 +と−の表示を参考にしていつも和声を聴きながら弾きます。歌う事も大切。 特にテノールを歌う時には左手の角度は「2時」の方向に押すように。 ++ + – −−と表示された強弱は階段の登り降り状で表し輪郭を取ります。 リズムの練習も意識して、テンポやタイミングをコントロールしましょう。 くねくねと揺れるテンポ内で歌う所とリズムを感じる所を組み合わせます。 身体の動きの勢いを指や音に伝えることもよいでしょう。24小節からのドラマチックな和音や美しい和声はまずよく聴くためアルペジオなど豊かに鳴らして。 25小節の減7の和音がc#mollを通ってA-dur→…など時には和声にも着目。 この盛り上がりの部分は大きなクレッシェンドで表して。29小節の直線のついた29小節のトリルは上から強調してdcdcdcdcと長めに。和音もeを加え劇的に。 左手の下降音階はクレッシェンドというよりaの音に向かって行くイメージで。 装飾音は全て弾こうとせずに選ぶ自由を考えましょう。

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#197 バッハ 前奏曲 cis-moll BWV849(1)

美しい平均律のプレリュードを3回に分けて学ぶ第1回目は13小節まで見てみましょう。 ゆっくりのテンポで歌いながら揺れる子守唄のようなリズムを守りながら弾く曲です。 両手の声部の8分音符の旋律を交互に歌うイメージで。クレッシェンドは単に段々音量を大きくするのではなく気持ちの盛り上がりと捉えて音に向かって行くことを意識しましょう。 時には細かいタイミング(緑で表示)を自由に取って音を伸ばして弾いたり旋律を柔らかく。 旋律を膨らませて山を作りますがそれぞれの山の大きさの違いを+と-ではっきり意識して。 山の関係を考えて表現に繋げれば曲の構成や輪郭が分かりやすく更に旋律的になります。 フォルテやピアノなど単独の強弱記号よりも前後の強弱の関係を考えることが基本です。 アルペジオも歌って粘土をこねるような指先、鍵盤を引っ張る動きで旋律を歌いましょう。 6拍子より2拍子で考えて揺れるリズムを感じながらテンポを引きずらない事がネックです。 ペダルや強弱を忘れてリズムに集中するのも、歌う事に集中するのも其々良い練習です。 組み合わせた時には綺麗に歌いたい箇所もリズムが自由になり過ぎないようテンポを意識した良いバランスを探しましょう。次は装飾音、アルペジオ、トリルなども細かく見ます。 装飾音はいつもセンスよく長さや入れ方、タイミング、どの音を採用するか考えましょう。 例えば前打音は一音だけ前に弾くか、アルペジオ風にバラして弾くか、2音同時に弾いて不協和音を強調するか、色々な可能性を試して見ることで自分にとっての奏法が決まります。 装飾音を強調したり逆にあえて何も付けずに弾く選択もあるので吟味しながら進みます。 4段目のアルトの美しい旋律を強調するために手の方向は「10時」に向かって弾きます。 揺れるリズムの中に「小さな祈り」のような親密な空気が流れるように弾いてみましょう。

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#196 バッハ=ケンプ編 コラール前奏曲

バッハの美しいコラールをピアニスト、ケンプがピアノ用に編曲した作品です。 コラールは元は歌や楽器から成るひとつの音楽のジャンルですが、バッハはこれをオルガンのために手直ししました。原曲の歌詞から雰囲気を掴んで下さい。 オルガンの響きをイメージして弾けると良いです。メロディーは歌って、バスを響かせ、内声のハーモニーは小さく、3声を良いバランスで弾くことが大切です。 テンポはゆっくり、ソプラノは歌ってバスはオルガンの響きをイメージします。 3声のバランスを変えながら止まらずループ練習でちょうど良い響きを求めます。 右手は旋律を弾く外側の指は勢いよく、ハーモニーを受け持つ内側は柔らかく。 2声を異なるタッチで弾き分けます。内声の旋律が聴こえたら意識して歌います。 cresc.-dec.も効果的に表します。フレーズ2回目はエコーの様にpで悲しく。 トリルも丁寧にdec.します。小さいトリルは内声の旋律とタイミングずらして。 バスはオルガンの響きを出す為に時にはオクターブ下で弾くことも可能です。 強弱やバランス、タイミングを自由に表現しながら、神様に呼びかける、または祈る気持ちを持って宗教的な香りの豊かな音楽に仕上げましょう。

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#195 シューマン 森の情景「別れ」(3)

まず前回に引き続き最後のページの内声を見てみましょう。 曲の最後は森を後にして消えて行く…シューマンらしいファンタジーです。 3段目は表現を強く、テンポを上げて→戻し、クレッシェンドします。 ここも内声に出てくるテーマを強過ぎない範囲で強調しますが、練習の段階ではそれぞれの声部を弾き分けるために少し誇張した強弱で意識するのも良いです。 隠れた声部を探しながら美しく立体的な音のバランスを作りましょう。 時には強弱だけに頼らずタイミングを工夫し溜めて2:3もロマン派らしく曖昧に。 バスをドラマチックに弾きたい時はオクターブで。三連符は硬くならないように自然に1拍目をゆったり感じて馬車のリズムに動きに身を委ねましょう。 最後は和音の中に隠れるメロディのbーc音、バスのg♭やd-e-fなどを引き出して。 森との別れの悲しみだけでなく劇的な感情や不思議な情景の描写も聴こえます。 シューマンが馬車に乗って去って行くのを森が眺めている…など色々イメージしながら気持ちを込めて表現しましょう。

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#194 シューマン 森の情景「別れ」(2)

全9曲から成る森の情景から、最後の曲「別れ」を学ぶ2回目です。 3段目の2小節はイントロと同じですが前と異なるg-mollの和音が緊張感を生んで 不思議な森の情景を描写しています。シューマンらしい和声の変化を細かい強弱やタイミング、アーティキュレーション等使って積極的に表し魅力を伝えます。 小さな動機を鳥の鳴き声、シャープな動きとイメージして鋭い音で表現して。 柔らかく戻すためにはアルペジオ自由に。5段目は左和音連打のタイミングが鍵。 2:3のリズムは「ミタフカ(チョーフ=2/ミタカ=3の複合形)」で調子を取って。 右手2声部はレガートになる指使いでスライドするように一つの動きで。 fやpといった強弱記号より(+)(-)で前の部分との比較で強弱を感じると自然です。 ritだからゆっくりしようとせずに自然に音楽を感じることが大切です。 2pの二段目は雰囲気が変ります。内声もソプラノも左右を自由に使い旋律的に。 バスの変化もよく聴いて複雑な展開を耳で理解しましょう。 2段目までの不思議さが3段目は激しさ→すぐに美しさに変わります。 複雑な音楽ですが自分からあれこれ考え表現するのがシューマンの楽しさです。

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#193 シューマン 森の情景「別れ」(1)

全9曲から成る森の情景から、最後の曲です。第一曲目「森の入口」から森に入って行き花や鳥など自然の情景が描写されますが神秘的な味わいを纏っています。 最後の「別れ」は悲しいだけの別れではなく、帰途に着く安心感が聞こえます。 この曲も少し不思議なイントロから始まり、悲喜混ざった感情が展開します。 イントロのフレーズをレガートに弾く為に指使いを工夫して。右手は上手く歌う為にメロディー以外の伴奏の音をスタッカートで練習します。フレーズ終りをritで。 連打は「森の入口」同様馬車の足音を表します。旋律と独立させ和音は控え目に。 バス音も分離させて長く残し、和音・旋律との良いバランスを作りましょう。 メロディーは連打音、特に2つ目を大切にし滑らかさを意識して歌います。 鍵盤を捏ねる、揉むタッチで。メロディーは重さを載せて伴奏は軽く柔らかく。 伴奏のリズムは123456と唱えながら重くなる所、進む所、自然な動きを確認して。 1段目と2段目では和音が変化するのを良く聴いて音色やタイミングで雰囲気違いを区別します。8-9小節は左右の2:3のリズムが流れて崩れてしまわないよう、かつ詰まらないように柔らかく自然なルバートで弾きましょう。

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#192 グリーグ 抒情小曲バラード調(2)

前回に引き続きグリーグの小品を具体的な奏法を使って弾いて行きましょう。 小さな山(動機1)→大きな山(2)→2拍目を大切に(3)→最後(4)はpなど表現します。 同じ表現が2回繰り返されます。アルペジオは強く、広がるイメージで。 この構成を頭の中でしっかりと意識してそれに沿って再現できると良いでしょう。 B部分はAと違って拍感など少し複雑です。前回の通り強弱は+とーで考えて。 A'はAには無い美しい半音階のアルトの旋律が聴こえます。ソプラノは少し控え目。 左手もテノールの旋律を聴く為にバスは遠慮がちに。次にバランスを考えます。 Aと同じ様に構成をしっかりさせて安定感のある表現につなげましょう。 大きなコードは左右の手を器用にを使いバランスとタイミングを図りながら。 豊かなボリュームは脱力して最後の動機は小さく。 同じ表現が繰り返されていること=構成を意識してこの美しい曲にアプローチしてみましょう。

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#191 グリーグ 抒情小曲バラード調(1)

今日は初めての試みとしてグリーグの曲を音楽理論を使って勉強してみましょう。 強弱や歌い方も感覚でなく音楽の知識から求めて行きます。バラード風に=ルネサンス~中世の香りの曲調です。後半はメロディーが左右で豊かに歌います。 前半8小節は大楽節と呼ばれAで表します。これを前半後半に分けたのが小楽節aa'。 小楽節は2つの動機1-2から成っています。動機1は質問、動機2は答えと捉えます。 小楽節aは(終わっていない感じ)半終止、または不完全終止。3つ目の動機は前と似ており(質問)、動機4で終止します(答)。音楽は一般的によくこの形式で書かれます。 これが大楽節×1つの一部形式です。バロック時代にAB2つの大楽節による二部形式→ABAの三部形式に変化し、ここからABACAのロンド形式なども出てきます。 この曲はAABABA三部形式に近い構成です。構成から強弱を求めてみましょう。 Aの4つの動機は毎回少し変化を持たせるとよいです。フレーズの3拍目が山で全て音楽はそこに向かって行きますが、毎回少し違うボリュームで構成を考えます。 4つの動機で一番大きな山も3つ目、小さい山は4つ目です。次は拍で考えてみます。 強弱の山は3拍目でしたが拍は2拍目を大切に弾き、構成を作って行きましょう。 Bの歌い方はAと違う表現で。拍はAと同様に2拍目を大切にして、強弱を変えます。 動機1と動機3は2拍目に山、4拍目に谷。一方、動機2と動機4はAと同様3拍目に山。 このように知識を用いて曲の構成から表現を導き出して解釈に繋げてみましょう。

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#190 スクリャービン 前奏曲 op.16-1(3)

後半の2ページ目を見てみましょう。初めのテーマがそのまま戻って来ます。 大きなクライマックスが始まって盛り上がって行き、pppで終わります。 手の交差のあるところは右で取っても良いでしょう。 音楽的な盛り上がりで興奮して速くならないよう一小節ごとにコントロールして。 テンポは先に走らないようにほぼアダージョ位でもよいでしょう。 繰り返す四分音符「ソドファラミソ」はなるべく覚えて、鐘の響きのイメージで。 左伴奏の上の音を出して良いバランスを作り左右の音量バランスにも注意します。 最後は段々ゆっくり、右手はレガートで下から上のタッチでpでもキラッと光る音が消えていく様に。最後は和音の連打の中で<>をスムーズに水彩画のように音色を上手く混ぜて終わります。がんばって弾くのではなく、音を色や景色でイメージして、テンポもルバートで耳を使いながら弾きましょう。

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