#194 シューマン 森の情景「別れ」(2)

全9曲から成る森の情景から、最後の曲「別れ」を学ぶ2回目です。 3段目の2小節はイントロと同じですが前と異なるg-mollの和音が緊張感を生んで 不思議な森の情景を描写しています。シューマンらしい和声の変化を細かい強弱やタイミング、アーティキュレーション等使って積極的に表し魅力を伝えます。 小さな動機を鳥の鳴き声、シャープな動きとイメージして鋭い音で表現して。 柔らかく戻すためにはアルペジオ自由に。5段目は左和音連打のタイミングが鍵。 2:3のリズムは「ミタフカ(チョーフ=2/ミタカ=3の複合形)」で調子を取って。 右手2声部はレガートになる指使いでスライドするように一つの動きで。 fやpといった強弱記号より(+)(-)で前の部分との比較で強弱を感じると自然です。 ritだからゆっくりしようとせずに自然に音楽を感じることが大切です。 2pの二段目は雰囲気が変ります。内声もソプラノも左右を自由に使い旋律的に。 バスの変化もよく聴いて複雑な展開を耳で理解しましょう。 2段目までの不思議さが3段目は激しさ→すぐに美しさに変わります。 複雑な音楽ですが自分からあれこれ考え表現するのがシューマンの楽しさです。

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#193 シューマン 森の情景「別れ」(1)

全9曲から成る森の情景から、最後の曲です。第一曲目「森の入口」から森に入って行き花や鳥など自然の情景が描写されますが神秘的な味わいを纏っています。 最後の「別れ」は悲しいだけの別れではなく、帰途に着く安心感が聞こえます。 この曲も少し不思議なイントロから始まり、悲喜混ざった感情が展開します。 イントロのフレーズをレガートに弾く為に指使いを工夫して。右手は上手く歌う為にメロディー以外の伴奏の音をスタッカートで練習します。フレーズ終りをritで。 連打は「森の入口」同様馬車の足音を表します。旋律と独立させ和音は控え目に。 バス音も分離させて長く残し、和音・旋律との良いバランスを作りましょう。 メロディーは連打音、特に2つ目を大切にし滑らかさを意識して歌います。 鍵盤を捏ねる、揉むタッチで。メロディーは重さを載せて伴奏は軽く柔らかく。 伴奏のリズムは123456と唱えながら重くなる所、進む所、自然な動きを確認して。 1段目と2段目では和音が変化するのを良く聴いて音色やタイミングで雰囲気違いを区別します。8-9小節は左右の2:3のリズムが流れて崩れてしまわないよう、かつ詰まらないように柔らかく自然なルバートで弾きましょう。

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#192 グリーグ 抒情小曲バラード調(2)

前回に引き続きグリーグの小品を具体的な奏法を使って弾いて行きましょう。 小さな山(動機1)→大きな山(2)→2拍目を大切に(3)→最後(4)はpなど表現します。 同じ表現が2回繰り返されます。アルペジオは強く、広がるイメージで。 この構成を頭の中でしっかりと意識してそれに沿って再現できると良いでしょう。 B部分はAと違って拍感など少し複雑です。前回の通り強弱は+とーで考えて。 A'はAには無い美しい半音階のアルトの旋律が聴こえます。ソプラノは少し控え目。 左手もテノールの旋律を聴く為にバスは遠慮がちに。次にバランスを考えます。 Aと同じ様に構成をしっかりさせて安定感のある表現につなげましょう。 大きなコードは左右の手を器用にを使いバランスとタイミングを図りながら。 豊かなボリュームは脱力して最後の動機は小さく。 同じ表現が繰り返されていること=構成を意識してこの美しい曲にアプローチしてみましょう。

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#191 グリーグ 抒情小曲バラード調(1)

今日は初めての試みとしてグリーグの曲を音楽理論を使って勉強してみましょう。 強弱や歌い方も感覚でなく音楽の知識から求めて行きます。バラード風に=ルネサンス~中世の香りの曲調です。後半はメロディーが左右で豊かに歌います。 前半8小節は大楽節と呼ばれAで表します。これを前半後半に分けたのが小楽節aa'。 小楽節は2つの動機1-2から成っています。動機1は質問、動機2は答えと捉えます。 小楽節aは(終わっていない感じ)半終止、または不完全終止。3つ目の動機は前と似ており(質問)、動機4で終止します(答)。音楽は一般的によくこの形式で書かれます。 これが大楽節×1つの一部形式です。バロック時代にAB2つの大楽節による二部形式→ABAの三部形式に変化し、ここからABACAのロンド形式なども出てきます。 この曲はAABABA三部形式に近い構成です。構成から強弱を求めてみましょう。 Aの4つの動機は毎回少し変化を持たせるとよいです。フレーズの3拍目が山で全て音楽はそこに向かって行きますが、毎回少し違うボリュームで構成を考えます。 4つの動機で一番大きな山も3つ目、小さい山は4つ目です。次は拍で考えてみます。 強弱の山は3拍目でしたが拍は2拍目を大切に弾き、構成を作って行きましょう。 Bの歌い方はAと違う表現で。拍はAと同様に2拍目を大切にして、強弱を変えます。 動機1と動機3は2拍目に山、4拍目に谷。一方、動機2と動機4はAと同様3拍目に山。 このように知識を用いて曲の構成から表現を導き出して解釈に繋げてみましょう。

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