アルゼンチンの作曲家ヒナステラの曲の後半です。 右手の音は複雑な響きですが、4度・5度・8度からできた和音は平行に動くので 音程をキープした手の形を固定して大きなジャンプも手ごと移動させます。 歌うことも忘れずに。 フォルテシモでペダルが入るところはよく響きに集中します。 タイミングを利用してフォルテを更に強調できると良いでしょう。 盛り上がりの後で戻るところは前半よりさらに悲しく。 最後は拍を感じながらも段々ゆっくり、不思議な和音が遠くで鳴って 曲は終わります。
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#116 ヒナステラ「優雅な乙女の踊り」①
アルゼンチンの作曲家ヒナステラの曲の前半を見てみましょう。 アルゼンチンの音楽は南米の香りと欧風な文化のミックスで この曲も反復するリズムと不協和音が切なく神秘的な雰囲気を醸し出しています。 リズムはゆったり柔らかく「くねくね」とルバート気味に感じましょう メロディーは強弱を伸縮させて歌います。 曲の魅力になっている不協和音は強調して。 3声のところは2声ずつ組み合わせて、その関係をよく耳で確かめます。 4度と5度音程の組合せと半音の動きを細かく観察しましょう。 拍に飛び込まずタイミングを待って、手や身体の動きでも覚えると良いでしょう。
続きを見る »#115 ラヴェル「ボロディン風に」②
ラヴェルがロシア作曲家ボロディンのスタイルで描いた作品の 後半、3-4ページを見て行きましょう。 アパッショナートの部分は情熱的に弾けると良いです。 3ページの始めはまず指をスライドさせたり、左手の音を右手で取ったりして フレーズを滑らかに弾く工夫をしましょう。 レガートでも指は鍵盤から離して力が入らないように注意します。 高音のソプラノは音が細いので勢いをつけてフォルテにします。 手首、腕、肘は柔軟に保ちながら指先は強く安定感を大切に。 アパッショナートの4小節の右手は内声のラインを意識します。 2つのフレーズの2拍目をそれぞれ長く感じて。左手の大きな移動は素早く。 < >を感じて2つ目のフレーズの終わりは動きを止める感覚です。 この部分ペダルはバス音を残すように踏みますが最後の小節だけは 2拍目をハーフペダルにしましょう。 コーダは一度テンポを下げて、繰り返す音はエコーのように。 ppから細かいペダリングで少し軽快にテンポを上げますが エンディングに向けて再び緩やかになります。
続きを見る »#114 ラヴェル「ボロディン風に」①
ラヴェルがロシア作曲家ボロディンのスタイルで描いた作品。 オペラ「イーゴリ公」から有名な「韃靼人の踊り」に似たフレーズが出てきます。 2回に分けて今回は前半2ページをレッスンします。 リズム、揺れの感じ方、長いレガートやタッチまで学べる要素の豊富な曲です。 まず2小節の小さいフレーズ中で強弱<>を作りループ練習すると良いでしょう。 ループ練習の中でテンポや強弱、タイミングや音色など変化させてみて しっくり来る所を探します。 和音は鍵盤にぶつけないで、揉む・こねるように弾きましょう。 2ページ目も基本的に同様に、和音の違いを音色で表します。 中間部手前の変化は左手が決め手。良く聴いてスライドさせるようにレガートで。 中間部のメロディーのリズムは正確さよりもフィーリングで伸縮させます。 指先はしっかりと、でも音楽が硬くならないように手の動きは柔軟に保ちます。
続きを見る »#113 モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
モーツァルトが亡くなる前に書いた賛美歌のリストによるピアノ編曲版です。 祈りや慈悲といった温かい感情に溢れスピリチュアルな雰囲気の曲。 教会の響きの様なクリアなソプラノは指先の鋭いタッチで 「十字架」の歌詞部分は溜めてドラマティックに表しましょう。 中間部は始まりに比べて深みのあるトーンでイエスの死を悲しみ悼んで 同情が祈りに変わって行く様子は幻想的な音色で表しましょう。 最後の2段は伴奏部と捉え少し厚みを持たせ、アルペジオは美しく膨らませて ゆっくり終わります。
続きを見る »#112 シューマン「アラベスク」③
今日はA-B-A-C-A 型 のCの部分とコーダのレッスンです。 C部はB部同様、Aに比べて少しテンポは緩めます。 「フロレスタン」の活発で激しい性格が付点のリズム表れています。 付点を長めに、短い音は更に短く、鋭いリズムを引っ張るタッチで弾きます。 繰り返されるリズムは、レガート/スタッカートや強弱などの変化を 指だけでなく身体全体で掴めると良いでしょう。 コーダの内面的な「オイゼビウス」の性格は「子供の情景」最後の「詩人の話」に似ています。テノールを強調したり、残す音も考えながら段々ゆっくりと静かに語るように終わります。
続きを見る »#111 シューマン「アラベスク」②
2回目はA-B-A-C-A 型 のBの部を前半後半に分けて見ていきます。 Aの終わりから一息ついて切り替えるようにB部はテンポを落として弾き始めます。 レガートの為の指使いを工夫してアルペジオの強弱とタイミングやペダルを踏む/離す箇所も よく聴きながら、止まらない「ループ練習」でよい音楽を探しましょう。 盛り上がりも力を入れすぎず、スタッカートも空気が入ったように常に旋律的に。 繰り返されるフレーズは別の声部を強調して響きを変化させると良いです。 長いクレッシェンドは一度音量を下げてffまで効果的に盛り上げます。 後半は内省的(オイゼビウス的)なフレーズです。対照的なもうひとつの性格(フロレスタン) とのコントラストでゆっくりと静かな世界を表現します。ペダルもできる限り長く使いましょう
続きを見る »#110 シューマン「アラベスク」①
#109 シャンボニエール 「シャコンヌ」
フランスのバロック作品、シャコンヌの様式や表現法を学びます。 シャンボニエールはフランスのバロック学派を創った ルイ14世の時代のベルサイユ宮廷音楽家で、リュリがライバルでした。 シャコンヌは反復する「オスティナートバス」の上でメロディーが変化する 3拍子の舞曲。ルフラン(テーマ)→クプレ→ルフランに戻るロンド形式です。 フランスのバロック演奏スタイルはベルサイユ宮殿のようにたくさんの装飾で 豊かな響きで表現すると良いでしょう。アルペジオのように弾くクーレ (シュライファー)やスティル・ブリセなどの装飾音を用いながら 付点のリズムを取り入れた「イネガル奏法」で更にフランス風に。 スタイルに慣れて来たら自分流に装飾音をつけてみましょう。
続きを見る »#108 ショパン ノクターン第15番 ③
曲の後半~コーダまで見て行きます。 民族調な音階から成る3連音符のパッセージは3拍目を大事に=中心と感じ 少し長めに取ると分かりやすく、弾きやすくなります。 手首は高く、柔軟に回すように。大切な音は残しながら指レガートで弾きます。 リズムはいい「ノリ」を探すと楽になります。 最後のページは左の旋律をしっかり、対して右手は小さく軽くかつレガートで。 ここでも3拍目をテヌートの要領で大切に、ブレーキを掛けます。 終わりはエンディングらしくrit.で。f-mollの特別な雰囲気を味わいましょう。
続きを見る »#107 ショパン ノクターン第15番 ②
激しい性質の中間部を見て行きます。 実際は4拍子ですが2拍で感じられると弾きやすいです。 実際の3拍目にあたる2拍目はアクセントではなく「聴く」イメージです。 ユニゾンの部分は今までのバランスを逆転させて左手70%-右手30%で 縦の動きで、一方、和音部分は優しくコントラストを作りましょう。 次のフレーズでは右手は横の動きを意識して、アルトをよく聴くと同時に 上昇するバスを旋律的に弾きます。 強弱はfやffになることを予測して分量を加減しながら。 16分音符はナポリの6度を聴きましょう。 strettoで4拍に戻って。異名同音を使っての転調は和声変化を聴いて。
続きを見る »#106 ショパン ノクターン第15番 ①
最初のドの音はペダルを用いて印象的に鳴らし長さを保ちます。 左手は辛そうに人が歩いている様子を、右手は気持ちを表すように。 左手20-30%、右手80-70%の音量バランスで立体感を作りましょう。 ペダルは1,3拍目に踏み替えますが、状況により2拍目も判断して。 トリルは強弱やアーティキュレーション、始め方、左右の合わせ方など 入れ方をいつも意識して。自由に変化させられると更に良いでしょう。 3拍目を大切に「中心」として捉えられると自然にルバートも感じられます。 人間の「諦め」や「疲れ」を表すヘ短調の中の変イ長調は優しい「いい思い出」。 でも曲はまた辛い所へ戻って行きます。バスの旋律もよく聴いて下さい。
続きを見る »#105 グリーグ「民謡」
強い付点リズムと 5度の音程に「民謡」らしさを感じる楽しげな曲です。 5度音程の要素は伴奏部、バスの旋律など形を変えて現れます。 丁寧にバランスを聴くクラシック的な洗練されたアプローチではなく 庶民的、民族調をキーワードに、細かいことは気にせず楽しく演奏しましょう。 付点やスタッカートのリズムは実際に人がジャンプしてドスンと着地する重さで。 3拍目や二分音符でペダルを踏み、濁りに気をつけて踏み替えます。
続きを見る »#104 チャイコフスキー 6月「舟歌」③
三回目の今回は後半とコーダを見て行きます。 テーマが戻りますが今度は音が増えて複雑な響きになります。 左手の内声が歌えるような、またはつながりが聴こえるような指使いで。 右手のメロディーはタッチを変えて音色を変化させましょう。 和音は温かいトーンをキープします。 コーダは 神秘的な悲しみを持った光が降ってくるイメージで。 デュエットは中低音部に下がってきたら濁らないよう ペダルを小節ごとからもっと細かい踏み替えに変えます。 最後の繰り返しは拍感を失わないで。 ロシア作品らしく内声を豊かに表しましょう。
続きを見る »#103 チャイコフスキー 6月「舟歌」②
中間部の始まりは長調でpoco piu mosso 少しテンポが上がります。タッチも今までの重さを抜いて、鍵盤を撫でるように引っ張って弾くとレガートをキープしながら軽い響きになります。2人が舟で揺れている様な幸せなバルカローレをイメージしましょう。音楽が進むに連れて段々重さとテンポ、強弱を増してallegro giocosoへ。ここはダンスを意識してペダリングに注意しつつ、軽快さがフレーズを切らないように、旋律的に。クライマックスのffのアルペジオに向けてf > pの波をクレッシェンドさせて行きます。アルペジオは和音だけ弾いたり、次のポジションへ素早く準備する練習を。
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