この記事にはバロック音楽の「オラトリオ」を紹介したいと思います。 オラトリオは宗教的な音楽劇です。 オペラとカンタータの間にあると思った方が分かりやすいです。 そして、オペラとカンタータとの共通点がとても多いです。 いくつかの共通点や違ったところを見てみましょう。 ★ オペラと同じくオラトリオがソロのアリア、合唱、デュエット、レチタティーヴォやオーケストラの演奏で物語を表現します。 しかし、オラトリオには演技と衣装と大道具がありません。 ★ オペラにはそれぞれの登場人物の関わり合いや会話は大事です。 オラトリオの目標は宗教的なお話を伝えることです。 ★ オペラのストーリーの内容は神話や歴史的なお話や恋愛のロマンスやミステリーの話などですね。 オラトリオはカンタータと同じく宗教的で聖書の物語を歌って伝えています。 ★ カンタータは教会のミサために書かれていますが オラトリオはオペラと同じくどこでもいつでも演奏できます。 ★ オラトリオはカンタータとより長いです。 カンタータは25分ぐらいですが、バロックの後期のオラトリオは2~3時間もかかります。 有名のバロックのオラトリオは ★ ヘンデル - メサイア(ハレルヤ・コーラス) ★ バッハ - マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、クリスマス・オラトリオ ★ ヴィヴァルディやスカルラッティやカリッシミのオラトリオも素晴らしいです。 受難曲 受難曲のはオラトリオと同じですが、受難曲は新約聖書中の4つの福音書に基づいて,キリストの受難の物語を取扱った音楽です。「マタイ受難曲」「マルコ受難曲」「ルカ受難曲」「ヨハネ受難曲」。そのために受難曲はイースター(復活祭)の前の金曜日「聖金曜日」に演奏されることが多いです。聖金曜日には十字架にかけられて死んだイエス・キリストを祝うことをします。 バッハのマタイ受難曲 (Matthäus-Passion) は新約聖書「マタイによる福音書」の26、27章のキリストの受難を題材にしています。聖書からの聖句、伴奏付きレチタティーヴォ、アリア、コラールによって構成されたとても長い作品です。 これから3つのオラトリオ・受難曲を少し見てみましょう。 ヘンデル「メサイア」より ハレルヤ・コーラス 典型的なホモフォニーのスタイルで書かれた「ハレルヤ・コーラス」を聴きましょう。 J.S.バッハ「マタイ受難曲」の中で美しい旋律がイエスの愛を語るソプラノのアリア「愛ゆえにイエスは死のうと」"Aus Liebe will mein Heiland sterben"を聴きましょう。 歌詞対訳 Aus Liebe will mein Heiland sterben, 愛ゆえに私の救い主は死のうとされている。 von einer Sünde weiß er nichts, 主は罪ひとつご存じないのに。 daß das ewige Verderben それは永遠の滅びと und die Strafe des Gerichts 裁きの刑罰が nicht auf meiner Seele bliebe. 私の魂に及ばないようにしてくださるためだ。 私による編曲もあります: J.S.バッハ「ヨハネ受難曲 」の出だし 第一部の第1曲の合唱も聴きましょう。 受難曲らしい緊張感やテンションや不協和音と同時に愛と感謝と同情を求めたり・探したり・・など様々な感情を表しているヨハネ受難曲のオープニングを聴いてください。 歌詞対訳 Herr, unser Herrscher, dessen Ruhm 主よ、われらを治めたまう主よ、あなたの栄誉は In allen Landen herrlich ist! 全地に輝きわたっています! Zeig uns, durch deine Passion, お示しください。あなたの受難を通し、 Daß du, der wahre Gottessohn, 真の神の子であるあなたが、 Zu aller Zeit, あらゆる時に、 Auch in der größten Niedrigkeit, 辱めのどん底にあっても、 Verherrlicht worden bist! 栄光を受けておられた事を!