前の音楽史の記事に中世まで色々みましたね。 14世紀のフランスのアルス・ノーヴァとイタリアのトレチェントは最後でした。 まだ少し覚えていますか? 今日はルネサンス音楽をみてみましょう。 ルネサンスは1450年ー1600年までの時期です。 芸術や哲学や宗教に色々の大きな変化があって大事な時代です。 ルネサンスは「再生」を意味します。 ヨーロッパ中に新しい風が吹いてきて、文化を復興するの動きが始まりました。 ホモフォニー&フォーブルドン ルネサンス音楽をみますと、音楽がもっと和声的になったのは一番大きな変化です。 作曲家たちが作曲するときに声部の横の動きだけではなく 縦の音(和音)も考えて曲を作るようになります。 和声を考えて曲を作るって・・・これは現在の私たちにとって 当たり前のことですが、当時にそれは新しい作曲法でした。 もう一度中世のアルス・ノーヴァの曲を聴きましょう。聴きながら次の3つのポイントを考えてください。 1.和声や和声の進行をあんまりはっきりに聞こえないです。 2.音楽は少し分かりにくいところもあります。 3.歌詞も少し聞き取りづらいです。3人が同時に違った歌詞を歌っています。 素晴らしい音楽ですが、私たちの現在の耳で聴きますと、このような音楽は少し不自然に聞こえます。 ルネサンスに入りますと作曲家が3度や6度の音程を使って和音を作ることになります。 例えば:ラ・ド・ファの和音。そして、上のドとファは完全4度ですね。 この3声を平行に動かすと和声の進行ができます。 シレソ・ドミラ・レファシ・・など 特に上の完全4度の平行の動きはルネサンスらしい響きになります。 この和声の進行のは「フォーブルドン」と呼びます。(faux bourdon) バスの声部が時々1つの音を下がります。そうすると、ソプラノとバスは完全のオクターブになります。 このフォーブルドンのお陰で、ルネサンス音楽は中世音楽より自然やモダンに聞えます。 声部が一緒に同じリズムで動いているから、歌詞も聞き取りやすいです。 例: Guillaume Dufay "Ave Maris Stella" 最初はピアノを聴いてください。 (オリジナルをもう少し下のビデオを見てください:デュファイの最初のビデオ35秒のところからです) 平行の4度と3和音ラドファ・シレソ ルネサンス音楽を聴きますと、中世音楽と違って、メロディと伴奏がはっきりしているように聞こえます。 これは音楽用語で「ホモフォニー」といいます。 音楽はもっとホモフォニーらしく聞こえてくるのはルネサンスの一番大きな特徴です。 ・メロディと伴奏がある音楽をホモフォニーと呼びます。 ・独立した声部で出来た音楽をポリフォニーと呼びます。 ジョン・ダンスタブル このフォーブルドンはイギリスに生まれたスタイルです。 イギリス音楽に昔から民族音楽の影響が強くて曲の響きはヨーロッパ大陸の音楽より豊かです。 ジョン・ダンスタブル(1390年頃 - 1453年)はイギリスのフォーブルドンの代表的な作曲家です。 彼の曲を聴きましょう: 百年戦争&ブルゴーニュ公国 ダンスタブルが亡くなったのは1453年です。これはちょうど百年戦争(1337年 - 1453年)の終戦のときです。 百年戦争はフランスとイギリスの間の戦争でした。(誰がフランスの王様になれるかのケンカでした) 中世のアルス・ノーヴァの記事にもこの戦争とジャンヌ・ダルクの話がでたですね。 この戦争の良いところのはイギリスとフランスの文化交流が多くなったこと。戦場はほとんどフランスだったので、海を渡ってフランスへ行く兵士や一般の人が多いでした。そしてフォーブルドンのスタイルはヨーロッパ大陸にも広がりました。 ルネサンスといいますとイタリアの芸術のイメージが先に頭に浮かんでくるかも知りませんが、ルネサンスの初期と中期はオランダ・ベルギー(フランドル地方)と北フランスは中心でした。その背景を少し見てみましょう。 フランドル地方、ブルゴーニュ公国 百年戦争や他の問題の影響でフランス王国がだんだん弱くなりました。フランスが戦っている間にある貴族たちが自分たちの領土を広げました。この領土のは南オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、北西フランスとブルゴーニュ地方になりました。とても大きな地域です。 ブルゴーニュ地方のはあの世界一番美味しいワインが出る所です。そして、あのマスタードで有名な町ディジョンのはブルゴーニュ公国の首都でした。 ブルゴーニュ公国の貴族たちがとてもお金持ちになって華かな宮廷生活をしていました。教会や宮廷の音楽、絵画などのとてもレベル高い素晴らしい芸術がブルゴーニュ公国で作られました。 ブルゴーニュ公国は1477年にフランス王に敗れて消えました。しかし、レベル高い音楽は伝統として残っていました。素晴らしい音楽家たちがこの地域から出ました。彼らはその後イタリアやフランス、ドイツの宮廷や教会で活躍します。フランドル出身の音楽家の評判はとても高いでした。フランドル出身の大事な作曲家がルネサンスの中期や後期にも出てきます。彼らをフランドル楽派、またはネーデルランド(オランダ)楽派と呼んでいます。 デュファイ デュファイ(1400年頃 - 1474年) デュファイはベルギー(ブリュッセルの近く)生まれのフランドル楽派の代表的な作曲家です。 ルネサンスの初期の一番素晴らしくて有名な作曲家です。 私は彼の音楽を小さい時から教会でよく聴いています。とても身近く感じる音楽です。 彼が書いた曲は中世と同じにモテットやミサ曲、シャンソンですが フォーブルドンの和声の進行はとても美しいです。 以下に彼のアンティフォナ 「アヴェ・マリス・ステラ」を聴きましょう。 デュファイ:ミサ曲 「ロム・アルメ」武装した人 中世の記事で勉強したのはミサ曲に定旋律を使うことです。 定旋律のは神様の声でした。Cantus Firmus(定旋律)と呼びます。 元々聖書からの歌詞の古いグレゴリオ聖歌をミサの定旋律(メロディ)として使っていました。 しかし、ルネサンスには世俗音楽のメロディを定旋律としても使います。 当時に一番人気があるメロディのは「ロム・アルメ」武装した人の民謡でした。 戦争の歌でした。すべての作曲家たちがこのメロディを定旋律として使ってミサ曲を作っていました。 以下にデュファイの武装した人のミサ曲を聴きましょう。 この音源にミサ曲が始まる前に武装した人の歌が聞こえます。 次は、ミサが始まると武装した人のメロディが違ったリズムでテノールに出てきます。 このミサ曲にフォーブルドンもたくさん出てきます。 歌詞: もう少し勉強したい ヤン・ファン・エイク ヤン・ファン・エイク( Jan van Eyck、1395年頃 - 1441年7月9日)は、初期フランドル派のフランドル人画家。 ブルゴーニュ公国の代表的な画家です。彼の有名な絵を見ましょう: 『アルノルフィーニ夫妻像』(1434年)